追悼・タカダワタル
高田渡さんが亡くなったそうだ。今月30日に吉祥寺バウスシアターで映画『タカダワタル的』のイベントでミニライヴをするはずだったので、友達と見に行こうか、と話していた矢先だった。まだ50何歳とかなのに。絶対酒の飲みすぎで体悪くしたんだろう。『タカダワタル的』だって、吉祥寺の伊勢屋の2階で飲んでるシーンばっかりだったらしいし。NHKの番組に出て演奏している最中に、「あれ、演奏、止まったな」と思ったら、本人は酔ってつい寝てたらしいし。ライヴの後のパーティーかなんかで、うちの兄さんがCDにサインしてもらいにいったら、油性マジックでCDケースにヘロヘロ書いてくれたのが、「サダムムラさま」ってなってたし。そりゃ飲みすぎだよ。
私はそんなタカダワタルに会いにバウスシアターに出かけていくのを楽しみにしていた。大介くんが話してくれるタカダワタル話を聞くうちに、不思議な愛着がわいていた。イベントの前には私も伊勢屋の2階で一杯、と考えていたくらいだ。でもタカダワタルはもういないのだと、7時のニュースはそう言っていた。
♪自転車に乗って 自転車に乗って ちょいとそこまで歩きたいから♪
春の陽気にぴったりなこの歌が、自転車にまたがって家を出る度に“ファンキーバージョン”で頭の中でリフレインしていた今日この頃。この突然の訃報に、なんだかほろ酔いのまま自転車に乗ってフラフラと春の陽の中に遠ざかっていってしまうタカダワタルの後姿を、ちょっと寂しくぼんやり見つめているような気分だ。
あの飄々としたタカダワタル節をもう生で聴けないかわりに、自転車に乗って、ちょいとそこまで歩いていって、伊勢屋の2階で彼のために一杯。『タカダワタル的』を見に行くときには、きっとそうしよう。「ごあいさつ」できなかった私のささやかな追悼だ。
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