Sunday, November 20

偉大なるチャップリン

CHARLES CHAPLIN
"Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot."
"I stand alone."

『Limelight』

“チャップリン”じゃないチャップリンの映画。でもやはり芯になるものは同じで、人が生きる喜びも悲しみも、実はそんなにかけ離れたものではないんだという ことに気づかせてくれる。「人生はクローズアップで見ると悲劇、ロングショットで見ると喜劇。」浮浪者“チャップリン”であり、limelightみたいな映画を作った彼だからこそ残せた名言だ。

本当の貧乏をしっているチャップリンは、「貧しさは人を豊かにする」みたいなきれいごとを言ったりはしない。チャップリンの人生の経験から生まれた浮浪者のキャラクターに描かれる、人間の悲しさ、能天気さ、滑稽さ、したたかさ、ナイーヴさ、優しさなどは、とても説得力がある。たくさんたくさん映画を作って、そのすべてを貫いて(少なくとも私が見たものの中では)、人間の性質、生き方に対する見方、考え方を明確に示し続けたチャップリンはやはり偉大な映画人だ。

ライムライトでは、トーキーの時代になって忘れ去られていたバスター・キートンが、友人チャップリンのこの映画の中で、見事なカムバックを果たし ている。落ち目の喜劇役者の姿を描いたこの映画だからこそ特に、彼の才能の輝きが再び気づかれたことは実に感慨深い。チャップリンはひとつの映画の中で、なんてたくさんのことを成し遂げているんだろう!

自分のlimelight(舞台照明)がどこにあるのか、どう保っていくかを、自分がしっかり分かっていればいい。「生きる」ということを大切にしようと思わせる、これまで出会った最も大事な映画のひとつ。