Friday, November 25

イラン映画・そこに生きる人へのまなざし

Iranian Films (書き途中 unfinished)

『友達のうちはどこ』
KHANE-YE DOUST KODJAST ? (WHERE IS THE FRIEND'S HOME?)
Directed by Abbas Kiarostami

『クローズアップ』
NEMA-YE NAZDIK (CLOSE-UP)
Directed by Abbas Kiarostami

『柳と風』
BEED-O BAAD(WILLOW AND WIND)
Directed by Mohammad Ali Talebi
Script by Abbas Kiarostami

Thursday, November 24

かみしめるイタリア映画

Italian Films (書き途中 Unfinished)

『自転車泥棒』(LADRI DI BICICLETTE: The Bicycle Thief)

イタリア・ネオリアリズム時代を代表する、デシーカ監督の最高傑作。つらく悲しい、しかし説得力のあるすばらしい映画。私はローマで『自転車泥棒』の足跡をたずね、町のはずれまで行った。

『無防備都市』(Roma città aperta: Open City)
戦争の傷跡が生々しい、終戦同時期に撮られた迫力のロッセリーニ作品。

Wednesday, November 23

フランス映画の宝

French Films

『パリ空港の人々』(原題:TOMBES DU CIEL、英題:LOST IN TRANSIT)

こうやって大事に人間を見る映画、あるようでなかなかない。世界が「外」になってしまった人たち。自分とそんなに遠い存在だろうか?この映画の視線の優しさは、悲しくも温かく、心にしみる。

『パリの天使達』(原題:UNE EPOQUE FORMIDABLE...、英題:Wonderful Times)

これも基本となる姿勢は同じだ。「おまえら、こいつがきらいなのか!?」その悲痛な問いかけには、はっとするものがある。人はどんなに人間を見ようとしないことか。

『ガスパールとロバンソン―海辺のレストラン』(原題:Gaspard et Robinson)

こんなに優しい映画もなかなかない。私が大切に思う映画、第一に挙がる。

どれもフランス映画史に燦然と輝くようなメジャーな映画ではないが、大事に思い入れ深く想っている人に大切に受け継がれていく、そういう映画だと思う。地味ながらもフランス映画の宝だ。

『勝手にしやがれ』 (原題:A Bout de Souffle、英題:Breathless)

ヌーベル・バーグの金字塔。ジーン・セバーグのキュートでシャープな魅力と、ジャン・ポール・ベルモンドの勝手気ままでセクシーな魅力が、軽やかに自由に、花火のようなきらめきで、そこにある。見るたびに違った魅力を発見する、いつまでも新しいゴダールの傑作。




『大人は判ってくれない』(原題:Les Quatre Cents Coups、英題:The 400 Blows)

トリュフォーの不屈の名作。ジャン・ピエール・レオーの中の「少年」とトリュフォーの中の「少年」が成熟した出会いを果たした、忘れられない映画。パリの街が画面をはしっていく冒頭シーンも、実に印象的。

Tuesday, November 22

爆走イギリス映画

British Films

『さらば青春の光』(Quadrophenia)

やめてくれ、この邦題。まず「さらば」で見ないし、「青春」でますます見ないし、「光」でもう絶対見ない。『QUADROPHENIA』、モッズ映画の金字塔だ。でもモッズ賛歌じゃなくて、うわべだけでいい気になっててどうすんだって、痛烈なカウンターパンチをかましてくれる。THE WHOの音楽が最高にかっこいい。

私のこの映画に対する熱意から、映画も見てない約3名がBrightonのSeven Sistersまで道連れとなった。Seven Sistersとは、映画の冒頭に出てくる、イギリス南海岸にある(石灰の)真っ白な崖のこと。今でもこの伝説的映画はBrightonの町の名前を世界に知らしめている。そして同じBank Holidayには、細身スーツに身を包んだモッズたちが、ロンドンを駆け抜けてスクーターをブライトンまで走らせるのだ。若きスティングがモッズの親分の風格たっぷり。あぁ、Bell Boy。



『Lock, Stock & Two Smoking Barrels』

楽しい。小気味よし。切れ味よし。スピード感がたまらない。音楽もしょっぱなからOCEAN COLOUR SCENEのHundred Mile High Cityでとばしていて嬉しい。キャラクターもそれぞれ面白いし、イギリスのどうしようもないかんじがいい。ガイ・リッチーのセンスあふれる一作だ。SNATCHもよかったけど、私はやはり最初のこの作品が気に入っている。『Quadrophenia』の“エース”スティングが、今度は若いやつらの父親として登場。エースのまま年をとったような印象の役柄である。

Monday, November 21

日本映画の傑作

Japanese Films

『七人の侍(Seven Samurais)』 - 黒澤明(KUROSAWA, Akira)

不屈の名作とはこういう作品のことをいうのだと、私は思う。これほどそれぞれの役者が自分の持ち味を最大限に見せることができた映画というのは、そうそうないのではないだろうか。キャラクター1人1人の味わい深さと映画としての迫力…。これを名作と言わずして、何を名作と言おう。その中でもやはり三船の魅力はすごいものがある。志村喬も本当にいい役者だ。その力をここまで引き出した黒澤という人は、やはりすごい監督だったのだなぁと思う。

『東京物語(Tokyo Story)』 - 小津安二郎(OZU, Yasujiro)

小津の『東京物語』も最高傑作のひとつだ。黒澤とはまったくタイプの違う、日本映画界の巨匠。家族というものを通して毎日の生活の中から、変わりゆく人間関係を描いた小津の作品は、強い説得力を持って心の芯に語りかけてくる。この説得力は、例えば、毎日通る道、毎日繰り返される挨拶といった、日常のディテールをひとつひとつ丁寧におうことでうまれているのだと思う。

最近自分で絵を描くときに、「絵を描くということは物を見るということ」だと実感する。絵を描こうとすることで、普段は見過ごしていたようなことにも気づくし、「へー」と新しい認識になったりすることもある。小津の映画も同じだと思う。映画を撮ることで、つまり(彼の映画の場合)改めてディテールをおって描いていくことで、もう一度日常を見つめ、考え、感じている。描く人がその物(者)と向き合って、様々な思いや考えや感情をめぐらせながら、丁寧に描いた絵が説得力をもって人を魅了するのと同じように、小津の映画は深い味わいと感動をよぶのだと思う。

Sunday, November 20

偉大なるチャップリン

CHARLES CHAPLIN
"Life is a tragedy when seen in close-up, but a comedy in long-shot."
"I stand alone."

『Limelight』

“チャップリン”じゃないチャップリンの映画。でもやはり芯になるものは同じで、人が生きる喜びも悲しみも、実はそんなにかけ離れたものではないんだという ことに気づかせてくれる。「人生はクローズアップで見ると悲劇、ロングショットで見ると喜劇。」浮浪者“チャップリン”であり、limelightみたいな映画を作った彼だからこそ残せた名言だ。

本当の貧乏をしっているチャップリンは、「貧しさは人を豊かにする」みたいなきれいごとを言ったりはしない。チャップリンの人生の経験から生まれた浮浪者のキャラクターに描かれる、人間の悲しさ、能天気さ、滑稽さ、したたかさ、ナイーヴさ、優しさなどは、とても説得力がある。たくさんたくさん映画を作って、そのすべてを貫いて(少なくとも私が見たものの中では)、人間の性質、生き方に対する見方、考え方を明確に示し続けたチャップリンはやはり偉大な映画人だ。

ライムライトでは、トーキーの時代になって忘れ去られていたバスター・キートンが、友人チャップリンのこの映画の中で、見事なカムバックを果たし ている。落ち目の喜劇役者の姿を描いたこの映画だからこそ特に、彼の才能の輝きが再び気づかれたことは実に感慨深い。チャップリンはひとつの映画の中で、なんてたくさんのことを成し遂げているんだろう!

自分のlimelight(舞台照明)がどこにあるのか、どう保っていくかを、自分がしっかり分かっていればいい。「生きる」ということを大切にしようと思わせる、これまで出会った最も大事な映画のひとつ。

Saturday, November 19

北欧映画・我が道を行く人々

Scandinavian Films

『レニングラード・カウボーイズ・ゴー・アメリカ/モーゼに会う』
(Leningrad Cowboys Go America / Leningrad Cowboys Meet Moses)

カウリスマキ!フィンランドの変り種巨匠。 彼のセンスはすごい。「なんで!?」「どうして!?」「どこがどうなったらそうなるの!?」ということが、平然と常識であるかのように大きな顔をしているカウリスマキ王国。口数少な気でいて、よく分からないところで自分のカラーを出しまくっているカウリスマキ人。一度はまったら中毒。

『ロッタちゃんの自転車/ロッタちゃん はじめてのおつかい』
(Lotta Pa Brakmakargatan: A Clever Little Girl Like Lotta / Lotta Flyttar Hemifran: Lotta Leaves Home)


生き方はロッタちゃんに学べ。

Friday, November 18

反骨アメリカ映画

American Films

『Easy Rider』

あまりにも有名なこのバイクのイメージ。70年代の音楽をバックに、アメリカのだだっぴろい道を飛ばす、このかっこよさったらないだろう。でもこのイメージが特定の人間を惹きつける一方で、他の特定の人間はそのイメージがためにこれを避けてしまう、ということはあるだろう。カルト映画というのは往々にしてそういうものだ。しかし実際に見てみると、記号化して広まっている「かっこよさ」から更に一歩踏み込んだものが見えてくる。この イージーライダーという映画も、そういう映画のひとつだ。

ピーター・フォンダとデニス・ホッパー。星条旗の星をまとって、時代の光を放ちながら駆け抜ける自由人。その彼らを待ち受けている衝撃的なラストは、アメリカン・フリーダム幻想を打ち破る、痛烈なアンチテーゼだ。それがアメリカの内側から映画になって音楽になって出てきてることに感動。今や古典となったこの作品にこめられた、若きデニス・ホッパーとピーター・フォンダのメッセージは、今の時代だからこそ語りかけるものも大きい。

ボブ・ディランが選曲に参加しているというサントラでも、THE BANDのWeightとか(たしかここではバーズが歌ってるのかな)Easy Riderのテーマとか、時代の名曲の数々がアメリカの大地を走りぬけながら聞こえてくるのも、また嬉しい。

『Buffalo '66』

神経質なギャロの、痛々しいギャロの、危ないギャロの、愛すべきギャロの、かっこ悪いギャロの、愛の映画。妙な安心と元気をくれる、温かい映画。

Thursday, November 17

ジャマイカ映画はレゲエと共に

Jamaican Films

『Rockers』

レゲエ映画と言えば、『The Harder Tey Come』よりこちらのほうがよく知られているのかもしれない。有名レゲエミュージシャンがいっぱい出ているということだが、私はまだレゲエは入り口を覗いたくらいで、全員は分からない。でも音を鳴らし始めると、とにかくみんな実にかっこいい。歌い始めるとみんな何か光臨してる。

主人公がてろてろしてて、ことの展開もわりといい加減で、「えぇ?それでいいのー?」「ほら、やっぱりダメじゃないかー」「でもいいのかー」という、まさにこれだった。それにしても、彼らはなんであんなにいつもおしゃれなんだろう。ごくごく普通にしてて、というよりも普通以上にテロテロしてて、それでいて自然におしゃれになっているという。ジャージの着こなしには学ぶものも多し。

パトワ語は聞いてても何も分からないが、かなり面白い。いらだったときや残念なときに思わず出てしまうかんじの「Cha!」は、実に便利。『Rockers』には特段出てこなかったと思うが、ちょっと気に入ったのが、「政治」をPolytricksというらしい。いかにも反体制ラスタなかんじだ。

『The Harder They Come』

『The Harder They Come』を見て感じたのは、レゲエはジャマイカのブルースだということ。ジミー・クリフがタイトル曲を歌っているところなんかは、実にしびれる。ジャマイカで撮られ、ジャマイカの映画館で上映された、最初の「ジャマイカ映画」。スラムでの撮影は大変で、何かに巻き込まれて死んでしまった人もいるとか。『Rockers』の明るさとは一味違う、緊迫感のある映画だが、どちらもとてもよい。この映画で、私は初めてレゲエの中身に触れた思いがする。